腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症の手術方法、入院日数、保険適用の有無などをご案内いたします。

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは

背骨には椎骨や椎間板の後方に神経の通り道である脊柱管と呼ばれる管があります。長い年月の間、体を支え続けていると背骨が変形してこの脊柱管が狭くなってきます。腰部で脊柱管が狭くなった状態を腰部脊柱管狭窄と呼びます。50歳代以降から徐々に増え始め、70歳台では10%程度の方が軽度の脊柱管狭窄があるとも言われているくらい一般的な疾患です。

症状

脊柱管が狭くなると、そのなかを通っている神経(馬尾や神経根)が圧迫されて、坐骨神経痛と呼ばれる下肢の神経痛やしびれ、麻痺(脱力)が発生します。時には、両下肢のしびれの他に、股間のほてり、排尿後にまだ尿が完全に出し切れない感じ(残尿感)、便秘などの膀胱・直腸症状が発生します。これらの症状は、主に起床・歩行時に惹起されます。そのため腰部脊柱管狭窄症では、長距離を続けて歩くことができなくなり、歩行と休息を繰り返す間欠跛行という状態になります。歩くと下肢の痛みやしびれが強くなってくる、あるいは下肢の症状に排尿の異常を伴うような症状があれば腰部脊柱管狭窄が疑われます。

治療法

症状の出かたや狭窄部位によって、馬尾型、神経根型、混合型に分類されますが、馬尾型は手術の適応になることが多いです。薬物療法(神経の回復を促したり、神経痛を緩和する)やブロック注射(仙骨硬膜外、神経根)といった保存的治療が有効な場合もあります。

保存的治療で改善が得られない方には、手術をお勧めしています。

図1

手術方法

手術法には大きく除圧術と固定術に分けられます。
除圧術は、当院では極力侵襲の少ない内視鏡手術を施行しています。
固定術は、神経の圧迫部に不安定性や側弯などの変形がある場合に適応になり、下のように後方手術と前方後方手術に分けられます。

①低侵襲後方椎体間固定(ミニオープンTLIF+PPS)

正中の小皮切から脊柱管を除圧して椎体間に人工のスペーサーを挿入して、外側の別の小さな皮切からスクリューを挿入する固定術。

②低侵襲前方後方固定(XLIF/OLIF+PPS)

わき腹を5センチ程度切開して椎体間に人工のスペーサーを挿入して、後ろの小さい皮切からスクリューを挿入する固定術。直接的に神経の周りを露出せず、間接的に除圧を行う手術法というメリットがあります。

①と②をあわせて行う手術もあります。(図3)

図2

図3

手術動画

内視鏡手術について

FESS(Fullendoscopic spine surgery)
完全内視鏡下脊椎手術

8mmの内視鏡を用いて行う最も傷が小さな内視鏡手術です。カメラから手術部に水を還流させて手術を行うことで良好な視野が得られ確実な止血ができます。
MED,MEL
(Micro endoscopic discectomy,Micro endoscopic luminectomy)
内視鏡下椎間板切除術、内視鏡下椎弓形成術

16mm程度切開で行う内視鏡手術です。当院では20年以上前より行っており豊富な実績があります。
MED
BESS,UBE (Biportal endoscopic spine surgey,Unilateral biportal endoscopic surgery)
片側侵入双穴内視鏡

最新の内視鏡手術で5から8mm程度を2か所切開し行う手術です。一方の傷からカメラをいれFESSのように水を還流させ片方の傷から手術器具をいれて手術を行います。近年アジアを中心にアメリカなど広く行われるようになっています。 患者様の中には椎間板が潰れ骨が変形し神経が圧迫されている場合があります。その場合は背骨にスクリューを挿入する固定術が適応になることがあります。